- 2007-11-26 (月) 15:24
- お知らせ全般
既に新聞などで報道されていますとおり、2007年11月23日、十勝岳連峰上ホロカメットク山で雪崩による死亡事故が発生しました。
この雪崩により、鈴木和夫さん(63)、鶴岡節子さん(56)、吉沢宣哉さん(60)、助田陽一さん(68)の4名が亡くなりました。
お亡くなりになった方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
日本雪氷学会北海道支部のチームの分析によると雪崩は、標高約1620メートルの尾根付近で幅約70メートルにわたって雪面が破断したのを起点に始まり、約40度の急斜面を約300メートル流れ落ちました。犠牲者が出た標高約1430メートルの沢地まで崩れたのち、さらに沢沿いに約160メートル下り、標高差は約190メートルということです。「この付近で起きた雪崩としては最大級ではないか
このホームページでもお伝えしているとおり、事故の起きる前に、十勝岳連峰での雪崩発生の危険が指摘されていました。それにも関わらず、こうした事故が起きてしまったことは非常に残念な結果です。
なぜ、事故が起きたのかということは、今後、警察や雪氷学会の調査により明らかになってくるはずです。
北海道アウトドア協会では、それに加えて、「どうしたらこの事故を防ぐことができたのか」「どうしたら、事故を繰り返さずに済むか」を考え取り組んでいきたいと思います。
今回の事故では、せっかくの情報が事故防止には役立ちませんでした。
情報の収集とともに、それを実際に役立てる方法が必要とされています。
下記に雪崩事故を防ぐための注意を掲載します。
山は、安全を確保してこそ楽しいものです。冬山の行動にあたっては、くれぐれもご注意ください。
なだれ事故にあわないために
雪崩(なだれ)は世界各地で、災害をもたらしています。雪深い山村が多い日本では、古くからなだれで大勢の人命が失われてきました。なだれ災害の多 くは、冬に起きています。春のなだれとともに、厳冬のなだれの危険も忘れてはなりません。冬のなだれは速度が速く、時速100キロを超えることももれでは ありません。そのため被害は、予想以上に遠くまで及びます。冬のなだれはその速さゆえ、大きな破壊力を持ちます。
かつて黒部ダム建設中に飯場がな だれに遭い、人や建物が1キロ先の谷の対岸まで飛ばされた例があります。最近は登山だけでなく、スキーやスノーボードで新雪を滑る人が増えています。新雪 滑走は素晴らしいスポーツです。しかし毎年のように、なだれで貴重な人命が失われています。事故にあわないために、次のことに注意してください。
1 なだれ事故の多くは吹雪やその直後に発生しています。吹雪で出来た「ふきだまり」の斜面でなだれは起きます。「ふきだまり」は風により雪が運ばれ、風下に出来ます。強い吹雪は、ふきだまりを短時間で作ります。「ふきだまり」の広い急斜面は、なだれの危険地帯です。
2 重い新雪は、ふきだまりです。風の影響を受けて積もるからです。亀裂が入ったり、踏み込むと振動や音がする斜面に入らないでください。すでに遅いかもしれません。危険です。
3 冬のなだれの多くは「面発生乾雪表層なだれ」と呼ばれるなだれです。表層なだれとは、ある層から上の雪がなだれるものを指します。
4 表層なだれを引き起こす層を、弱層といいます。層が雪の重さに耐えられなくなった時、破壊されてなだれが起きます。吹雪は短時間で重いふきだまりを作り、なだれが起こりやすい条件を整えます。
5 吹雪のふきだまりは、一枚の板のように広い面積に、不安定に発達します。これをウィンドスラブと呼びます。スラブが不安定に発達している時衝撃が加われば、その衝撃は短時間でスラブ全体に伝わります。スラブ自体の破壊が、なだれの引き金になることがあります。
6 スラブ化するとは、ある面積が一枚の板のようになることです。雪は変化します。時間を経てスラブは安定し、強固になります。スラブは日射によってもできま す。新雪の表面が日射で融ければ板のようにつながってスラブになります。日射によるスラブ化も積雪の重さや弱層などの条件が整えば、なだれを引き起こすこ とがあります。
7 雪の中には層が出来ています。寒冷晴天が続く内陸の山では、積雪の表面が低温で霜などに変わり、それが 雪の下になると「シモザラメ」の弱層になります。「シモザラメ」層は寒ければ寒いほど厚く発達します。標高の高い山や、晴天で寒冷な山では、この層が大き ななだれの引き金になることがあります。
8 日本海側の、湿った雪が多量に降り、吹雪が断続する山では、低気圧通過前に降る「新雪結晶」や、前線の通過時に降る「アラレ」など、あらゆる雪が弱層となり、なだれの原因となります。
9 なだれ判断を弱層テストだけで済ますことは危険です。危険判定は「プレッシャーテストや積雪断面観察などの弱層テスト」とともに、「斜面の向きや降雪状況の推移などを含む総合的な検討」によって行わねばなりません。
10 除雪のロータリー車が飛ばす雪は、ふきだまりの雪と似ています。また飛ばされた雪は、すぐに堅く締まります。これは停止直後の表層なだれの堆積(デブリ)がスコップも刺さらないほど固くなる現象と同じです。
11 多くの事故は吹雪やその直後に起こっています。同じ斜面でも、先週と今日では雪が異なります。常に雪崩に注意し、なだれの危険を回避するルートを取ってく ださい。万一の場合に備えてスコップやゾンデ棒、ナダレ発信機などを携行してください。これらの装備を用意することにより、致命的な結末を防ぐ可能性が高 まります。
ニセコ雪崩調査所所長、シーカヤックガイド、登山家 新谷暁生
ニセコなだれ情報などについて詳しくは、こちらをご覧ください。
※ゾンデ棒 なだれによる埋没者を探索するための棒。ゾンデとはさぐりをいれるという意味のゾンディーレンからきている。
厳冬期の雪崩は、こんなに恐ろしい・・・
「雪崩の速度」
雪崩は先端部が膨らみ頭部のような形を作り、後部はシッポのように細長くのびた形を形成し流れます。雪崩の最大速度はその頭部で観測され、後部は頭部より遅い速度で流れ下ります。つまり、雪崩の先端はスピードが速く流れ、後部はどんどん遅れることになります。
「形態による速度」
雪 崩の速度はその形態によっても異なります。流れ型と呼ばれる雪崩は大小の雪の塊が比較的ゆっくりと流れ下るのに対して、煙型と呼ばれる雪崩はより高速で雪 煙を巻き上げながら駆け下ります。典型的な流れ型雪崩である湿雪全層雪崩の速度は一般に秒速10m~30mであるのに対して、大規模な煙型雪崩の場合、秒 速50~100mに達すると言われています。
「秒速100mの恐怖」
毎秒100mというと大型台風の最大風速とされる毎秒50mの2倍のスピードです。こんな風が吹くと街路樹は倒れ屋根も吹き飛ばされます。雪崩の場合はさらに、空気の数十倍の密度の雪煙とともに押し寄せてきます。その破壊力は鉄筋の建物さえも押し倒してしまうほどです。ただ、なぜ煙のような雪崩がこんなに早いスピードがでるのか、その詳しいメカニズムは完全にはわかっていません。
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