- 2008-02-27 (水) 15:10
- 特集
最も危険な雪崩は、厳冬期に多発する面発生表層なだれだ。この雪崩は吹雪がつくるふきだまりの急斜面の、広い範囲が同時に崩れて起こる。ニセコなだれ情報は、ふきだまりの発達と安定から危険判断を行う。発達途中、つまり強い吹雪の最中に危険は最も高まる。吹雪が止んでもふきだまりはすぐに は安定しない。また安定に要する時間は標高や斜面の向きによっても異なる。そのためニセコでは風雪が収まりリフト運転が再開されても、ゲート開閉が慎重に検討される。
今年2月14日青森県八甲田山で起きた雪崩事故は、ゴンドラ駅舎で30m/sの風が記録される風雪の中で起きている。3月18日にはスノーモービルの一行4人が積丹岳で亡くなったが、当日山は強い冬型の吹雪が続いていた。今回の上ホロカメットク山の事故は、11月21日から2日間続いた風雪の後で起こっている。これらの事故 事例からもわかるように、多くの事故は吹雪かその直後に起こっているのだ。
事故が起こるたびに事故防止が叫ばれる。そして事故原因が議論される。しかし事故はすぐに風化し再び事故が繰り返されて行く。大切な人を失った遺族の悲しみは計り知れない。この連鎖は断ち切らなければならない。
以下に関連する先シーズンのニセコ雪崩情報を抜粋してみる。この情報はニセコの全スキー場に掲示され、インターネットでも見ることができる。スキー場に掲示される情報には断面観察データ、海上保安庁及び気象庁データ、アンヌプリ1100m風向風速データなどが適宜載せられる。雪崩に関心を持ってもらうためだ。尚「なだれ」を「雪崩」としていないのは、誰にとってもわかりやすい情報であることが目的だからだ。
雪崩は予測できる。不可抗力の事故などない。そして自然の中の危険は誰に頼るでもなく自分で予測しなければならない。それは動物的勘などという曖昧な自信であってはならない。知識があるという過信や驕りが結果的に事故を呼び寄せているということを知るべきだ。
雪崩は吹雪の最中と直後に起こりやすい。これが常識であることを知っているだろうか。少なくともこれはヨーロッパの登山家の常識だ。しかし日本では違うようだ。ニセコで雪崩情報が行われ始めた時、学識経験者や雪崩専門家に批判されたのは、この「吹雪が雪崩の原因をつくる」という考え方だった。1997年に京都で開かれた日本雪氷学会の雪崩セミナーで、「あなたは弱層という言葉をご存知か」と雪氷学者に発表を封じられ、ニセコの方法は否定された。理由は「科学ではない」というものだった。当時の専門誌には「科学でないものは滅びる」とまで書かれた。データに基づかないものは科学ではない。その通りだ。しかし私は必要に迫られてこの問題に関わってきた。そして今も変わらずに、科学的態度で情報の作成や事故防止に取り組んでいる。
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