人がすごい、自然がすごい-酪農学園大「北海道アウトドアガイド実習報告」(2)

Topic: 特集|

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「釧路湿原自然ガイド講座」で思ったこと

地域環境学科教員 岩井 洋
(北海道アウトドアガイド資格制度担当)

北海道アウトドアガイド資格制度の自然ガイド資格取得への支援として、「釧路湿原自然ガイド講座」が9名参加のもとで行なわれました。9月6(木)14: 00に鶴居村教育委員会合宿所に集合し、そこを根城に9月7(金)・8(土)・9(日)・10(月)の4日間講座を行い、参加者のつごうで半数は9月10 (月)に、残り半数は11(火)に鶴居村を離れました。講座の4日間は、毎日9:00~10:30、10:40~12:10、14:30~16:00と指 導が行なわれ、270分×4日間の全体で18時間という非常にハ-ドな内容でした。
この企画が本学でも初めての試みなので、私も9月6日に鶴居村に出向き、指導していただく安藤さんと、宿泊所を提供してくださった鶴居村教育委員会に挨拶をし、かつ実習開始への下準備を手伝いました(手伝ったつもりです)。
6日早朝に江別を発ったときは曇り空だったのですが、釧路に着いた頃から雨が降り出し、釧路駅でレンタカ-を借り鶴居村に着いたときには激しい雨になっていました。
約束の時間に皆合宿所に集合してくれ、安藤さんも来てくれました。久しぶりの安藤さんお元気そうで、頼もしく感じました。それからも何だかんだするうち に、はっと気づくと帰りの釧路発特急の発車時間が予想外に早くに迫っているではありませんか。地理に全く不案内なので、釧路-鶴居間の移動時間を短めに考 えていました。失礼も省みず、あわてて雨の中を合宿所から飛び出ました。しかし、借りた某会社の某車種は「環境に優しい!」が売りなのですが、普通の車と は微妙に違うシステムで、エンジンがなかなかかからないのです。時間が迫っていると思う心も知らぬげに、慌てれば慌てるほどエンジンはいっこうにかからな いのです。結局は釧路駅には何とか間に合ったのですが、大変でした(某車の面倒くさいシステム何とかならないんでしょうか!!「環境に優しい!」に引かれ て、我が家での次回の車購入では前向きに検討中なのですが…)。
しかし鶴居村の合宿所で非常に気になったのですが、参加した学生諸君が皆いつもと違ってひどく寡黙で重苦しく、顔付きが浮かなくてなにかしら全体に不安感 が漂っているではありませんか。合宿所の状態が期待していたほどにきれいではないためか、お互いはじめてのもの同士もいるということのためなのか、あるい は、合宿という共同での寝泊まりが始めての経験であるためなのか、あるいは食事が自己調達であったり、湿原で朝から夕方までガイド実習が待っているためな のか。しかも雨中のこの村この雨この合宿所、この人たち・・・・。そして「おっかなそうな!?」安藤さん…。
私は、彼らの大きな不安と鬱屈したやるせない思いを背に感じながら、わが子を厳しい世界にあえて置き去りにするような思いで、後ろを振り返らぬようにして 釧路に戻りました。帰りの特急の中でも不安は残り、皆は最後まで本当にやりとおせるのかなという思いや、私が言い出したこの企画良かったんだろうか等等、 汽車の窓外に流れ行く雨中の風景を眺めながら、さまざまな思いが錯綜し続けました。その心配は、次の日も次の日も合宿中も消えることはありませんでした。

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しかし大学での夏休みでも学期中と変わらぬ忙しさにかまけるうちに、何時の間にかそれも忘れ、気が付くと「釧路湿原自然ガイド講座」は終わっていました。
夏休みもそろそろ終わるという頃に、参加していた一人の学生が私の部屋を訪れました。私は悪い予感がし、嫌な報告を聞かねばならぬのかと覚悟を決めて緊張 して身構えていました。ところがソフア-に座ったとたん彼女は、満面の笑みを浮かべて、鶴居村での「安藤学校」(「安藤シュ-レ」-ドイツ語です!!)が どんなに楽しくためになったかについて、とうとうと述べ始めたのです。安藤さんの、学生の人間性を豊かに発掘する見事な手腕や、釧路湿原での感動的な体験 について堰を切ったかのように次々と話し始めたのです。彼女は以前から浮かない表情の学生でしたが、大変に明るく積極的な学生になっていました。
その後会う参加学生がことごとく、彼女と同じく講座中にあったことを伝えたくてたまらなかったように、安藤さんと過ごした豊かな充実した時間、安藤さんの 人間的な素晴らしさ、釧路湿原に大らかに生きる安藤さんの素敵な生き方について生き生きと熱っぽく伝えてくれました。そして「釧路湿原自然ガイド講座」に 今後もぜひ参加したいと口々に言ってくれました。彼らの表情は、あの鶴居村で講座開始前日に見せていた重苦しい表情では全くなく、明るい晴れやかな顔でし た。

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一期一会とよく言われますが、それは人生における人との出会いの豊かさ貴重さを言います。豊かな人間性に満ちた人との出会いは、人生の宝物です。見るから に「やさしい!!」安藤さんは、その風貌の底に本物の豊かなやさしい人格を有しています。安藤さんを見ていると、人の愛というものはそれが本物であればあ るほど、「愛している」という言葉にはならないように思われ、具体的行動のなかに滲み出てくるものだと思えてきます。そして自然を本当に愛する人は、人を も本当に愛する人だとも思えてきます。本物の自然ガイドとは人間ガイドであり、自然教育は人間教育なのです。そのことを、今回の「安藤シュ-レ」で私も学 ばせていただいた次第です。
先日安藤さんに来年度の実施についてお願いしたところ、「参加者が一人でも私はいたします。」と快諾してくれました。
最後になりましたが、安藤さんの奥様にもそして娘さんにも学生達がお世話になったことについて、この場を借りて心からお礼を申し上げたく思います。

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