人がすごい、自然がすごい-酪農学園大「北海道アウトドアガイド実習報告」(4)

Topic: 特集|

鶴居村アウトドアガイド実習で私が学んだこと。

地域環境学科 3年 麻生雄司

私は、今年の9月6日から10日にかけて、北海道アウトドア資格の実習として釧路の鶴居村を訪れ、実際に自然ガイドの資格を持つ安藤誠さんのもとで勉強さ せていただいた。鶴居村は、その名のとおり特別天然記念物である丹頂が頻繁に見ることができ、村内には鶴居・伊藤サンクチュアリという丹頂の大給餌場もあ り、毎年多くの観光客が足を運ぶ。また、丹頂以外にも野鳥や植物など自然豊かな鶴居村のフィールドの中で、安藤さんの指導を受けながら私たちは、現実的な ガイドとしての技術の習得以上に人間と自然との関わり方や、ある時は危険な面も持つ自然との接し方について学ぶことができたと思う。
今回、私がガイド実習を受けるきっかけになったことは、大学1年の頃から自然ガイドの資格を取るために継続して勉強してきたからだ。実際、私は大学に入る まで野鳥や植物の名前はもちろん、自然に対する知識を全く持っていなかった。野鳥の名前一つ覚えるにしても、森の中で野鳥の名前と声を一致させるのも一苦 労で、「自分は本当にガイドになれるのか?」という想いが自分の中にあり、次第に勉強もしなくなった。この実習では、私たちは3日目と4日目に複数でチー ムになりお互いにガイドをしあうということを行った。フィールドはヒッコリーウィンドへ続く砂利道周辺の自然を対象に、あらかじめ調べたことをガイドで見 せあい、最後に合宿所で安藤さんから評価をいただくというものだ。野鳥やテキストの勉強はしてきたが、実際にガイドをすることは初めてだった私にとって、 この実習はとても新鮮でなおかつ自分の知識を人に伝えることの難しさを実感した。そして、狭いフィールド内でも沢山の種類の植物が見られ、その知識を覚え て説明するだけでも多くの経験が必要であると感じた。だが、この経験を通じて分かったこともある。それは、ガイドという仕事が自然の知識のみを必要とする のではなく、その知識を参加者へどのように伝えるか、ということだ。ガイドとは最終的には参加者からお金をもらう仕事なので、参加者に対して知識を教える 以上に楽しんでもらうことを重要視する。例えばそれは、最低限度のマナーであったり、大きな声で話すことを心掛けたり、参加者一人ひとりと積極的にコミュ ニケーションをとるなど、参加者の側に立った心遣いである。そのことを意識して、他のメンバーのガイドを注意して見ると、皆個性的でそれぞれが独自の教え 方をしており、テキスト通りの教え方などないのだ、ということを痛感した。そして、例え自分が最低限の知識しかもっていなくても教え方次第でも充分相手を 楽しませることを知り、私は少しガイドになる自信をつけることができた。

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実習の最終日には安藤さん自ら、聖域と呼ばれるキラコタン岬で私たちにガイドをしてくれた。安藤さんは、私たちを連れて歩きながら双眼鏡などの装備を使 い、様々な角度から自然を見せた。普段から、安藤さんはキラコタン岬をフィールドにしているらしく、全く整備されていない草むらや獣道でも躊躇なく進んで いく。プロのガイドとして参加者を案内するということは、自分が案内するフィールドを熟知していなければならない。また、自然に如何に影響を与えずにガイ ドができるかということもガイドの力量が試されるのである。例えば、私たちは歩いている途中、一匹のシマリスを見つけることができた。シマリスは本来、中 々見ることができないため、当然参加者は双眼鏡やカメラで撮影したくなるだろう。しかし、ここで冷静になって考えてみると、元々人間はこのフィールドには 入ることができない。そのため、シマリスにとってカメラをもって近づいてくる人間は恐ろしくて危険な存在なのだ。安藤さんもそのことをよく理解しているた めか、ある程度写真を撮るとその場をゆっくりと離れていった。ガイドは確かに参加者を楽しませることが大事だが、普段は入ることのない自然に入る以上、ガ イドは自然に必要以上の負担や影響を与えないように最善をつくす義務がある。これは個人的に私が感じたことだが、安藤さんはガイドについて話すとき、しき りに「プロの」を付けていた。それは、安藤さんがアウトドアガイドとして仕事をしていることに誇りを持っているだけではなく、プロとして認められているか らこそ、自然に対しても人に対しても責任を持たなければならないことを自覚しているからこそ言えることだと感じた。
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現在、ガイド実習を終え報告書としてこのレポートを書いているが、そんな今だからこそ正直に言えることがある。それは、自分がこのアウトドアガイド実習に 乗り気ではなかったということだ。メンバーは自分以外1・2年生で、ほとんどの人と喋ったことがなく、それだけでも不安でした。実習の内容は当日まで分か らない、鶴居村もどのような町か検討がつかず、さらにはお世話になる安藤さんとは約1年前に、酪農学園大学の講演を聞いただけで全く話したことがないとい う状態。私は、できるならば今すぐにでも帰りたいとも思った。しかし、そのような気持ちも合宿所での共同生活や実習などでお互いに協力し話す機会を持つこ とで、徐々に解消されていった。私が今でも特に記憶に残っていることがある。実習の終わりごろにヒッコリーウィンドの前でバーベキューした際、ストーン サークルという儀式を体験した時で、焚き火を囲み丸く輪になった私たちは、安藤さんを交え自分が今、皆に伝えたいと思うことを一人ずつ話していった。ゆっ くりとした、普段の生活では味わえないような時間のなかで、本音を語りあえたことで、たった5日間だけの実習でも、お互いのことを少し知ることができた印 象深い時間だったように思う。
最後に、お忙しいなか私たち実習生を受け入れ、丁寧に教えていただいた安藤さんを初め、鶴居村でお世話になった多くの方々。そして、頼りなかったにも関わ らず、「リーダー」と慕ってくれ、一緒に実習を受けた地域環境学科の皆。そして、今回の実習に行く機会を与え、尽力してくださった岩井先生にも感謝を申し 上げたいと思います。本当にありがとうございました。

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