- 2008-12-24 (水) 15:32
- 特集
2008年12月23日、ニセコモイワスキー場で行われた第15回ニセコ雪崩ミーティングに行ってきました。
ニセコは、パウダースノーを滑ることができる魅力的な山の一部に4つのスキー場が作られており、世界から多くの人が滑りに来るスキーリゾートとなっています。
スキー場のリフトを利用して、スキー場の外、「管理区域外」へ容易にアプローチできることから、多くの人が管理区域外のパウダー斜面を滑り、かつては多く死亡事故が起こっていました。
そして、なだれによる悲惨な死亡事故を防ぐために、取り組みが行われてきました。
そのひとつ、「なだれミーティング」も今年で15回目。
さまざまな社会的障害を少しずつ解決し、この取り組みは成果をあげています。つまり、各地でなだれによる事故が相次ぐ中、ニセコではここ最近、死亡事故が起こっていません。
このように成果をあげているニセコの取り組みに、他の地域、他の分野も学ぶことが多いのではないかと思い、このミーティングに参加してきました。事故を防ぎ、たくさんの人に上質なパウダーを、素晴らしい自然を楽しんでもらうために成果があがるなら、学び、真似ることは近道です。
【なぜ、効果をあげているのか?】
では、なぜ、ニセコの取り組みは効果をあげてきたのでしょうか。
参加して、話を聴く中で、私なりに考えたことをお伝えします。
最も重要な点は、「効果をあげるまで取り組みを継続してきたこと。」
当たり前のことのように聞こえますが、字面から想像するほど容易なことではありません。「死亡事故を防止する」というシンプルにして力強い目的、なだれ情報の発信とミーティングによるコミュニケーションという地道な方法。短期間ならば、誰にでも簡単にできそうなことですが、十数年もの間、効果をあげるまで継続して行うということは、決して誰にでも簡単にできることではないでしょう。
これこそが、成果をあげた要因であり、学ぶべきポイントでしょう。「なぜ継続できたのか?」「継続する動機は何なのか?」に考えを巡らせ、自らの環境に置き換えて、自分のとるべき行動に反映させることが大切ではないでしょうか。
ニセコでは、次のような考え方が根底にあります。
「なだれによる死亡事故をなくしたい」
「毎日なだれが起きているわけではないのに、なぜ、なだれが起きる日に山へ入るのか?」
「滑り手が自由に楽しめることを尊重する」
「滑り手が山へ出る前に、情報を見て考えることで、事故防止につながる」
こうした考えに基づき、活動を継続してきました。
考え方が非常に明確にされていることも、取り組みを継続する上で効果的に働いたのだと思います。
そして二つ目は、「コミュニケーションを重視してきたこと」ではないでしょうか。
中心人物である新谷暁生さんは、関係する様々な人とコミュニケーションを続け、成果をあげるために必要な考えを伝えてきました。
また、スキー場ではパトロールたちが、ゲートから外へ出ていく人に声をかけ、注意を喚起します。
滑り手、スキー場関係者、行政担当者など、なだれ事故防止にかかわる人たちが集まるミーティングでは、いろいろな意見を出し合い本質的な議論することを重視しています。
このように、取り組みが形式的なものではなく、生身の人と人のコミュニケーションをベースにしてきたことが、時間とともに着実な成果に結びついたのではないかと感じています。
なだれ事故は、誰もいない斜面で起きる自然現象とは全く事情が異なります。そこに人がいるから事故になります。
つまり、なだれのメカニズムだけに着目していては、事故を防ぐには不十分です。防ぐべきは、なだれそのものではなく、それによる事故であることを考えると、必要なのは、人間の行動を変えることです。シンプルに考えるならば、なだれが起きるとき、その場に人がいなければいいのです。
事故が起きたときの対策や装備のことも大切ですが、何よりもなだれに巻き込まれないことを最優先すべきというのは自然な考えです。
そのためには、ニセコの取り組み手法、継続すること、コミュニケーションを重視することが最も近道であり、あるいは唯一の道なのかもしれないということが見えてきます。
この取り組みが、いつまでも成果をあげつづけること、そして、他の地域でも同じように事故がなくなることを期待しています。
そして、ニセコにかかわるすべての人に、この取り組みを尊重することをお願いしたいと思います。
北海道アウトドア協会 竹内聖
参考:ニセコなだれ情報
ニセコのなだれに関する情報は、ニセコ雪崩調査所によって発信されています。ニセコで滑る人のための情報です。滑る人は必ず読んでください。
参考:ニセコルール
ニセコルール
ニセコローカルルールはニセコルールに名称を変更しましたニセコルールはスキー場エリア外を滑走する人々と、すべとのスキー場利用者の安全のために作られた地域の公式ルールです。
『完全立ち入り禁止区域』にはいかなる理由があろうと入ってはならない
湯の沢、水野の沢及び春の滝は、ニセコルールの「完全立ち入り禁止区域」です。これら3つの谷を滑走するとリフト券を没収します。
ロープをくぐってはならない
全てのロープをくぐることを禁止します。これらの行為を行うとリフト券を没収します。エリア外はルールで定められたゲート(国定公園への入り口)から出なければいけない。
スキー場エリア外は安全管理が行われていない
ニセコアンヌプリ山頂を含むスキー場エリア外は国有林または道有林であり、国定公園です。エリア外はスキー場によって管理されていません。ニセコルールはエリア外滑走、山頂登山には危険が伴い、自己責任が問われることを明らかにします。
ゲートが閉じられているときはエリア外に出てはならない
スキー場はニセコルールに基づき、高い危険が予測される日にはゲートを閉鎖します。
ニセコなだれ情報
「ニセコなだれ情報」はニセコルールの公式情報です。この情報はリフト乗り場、各ゲート及びインターネット上に掲示されます。
エリア外での捜索救助費用
エリア外で事故が発生し、スキー場パトロールが捜索救助活動を行う場合、スキー場はニセコルールに基づき、当事者に実費を請求します。
スキー場及び山岳パトロール
スキー場エリア内外を問わず、ニセコルールは全ての利用者がスキー場パトロール、後志(しりべし)山岳パトロールの指示に従うことを求めます。
ルールの趣旨
スキー場と地域はニセコルールの精神に基づき、利用者の自由を尊重し、その安全に重大な関心を持ちます。
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