5月 22
Topic: 連載:プロフェッショナル論|
前回、石垣島に行って思ったことを書いたわけですが、そこで、「なんで、北海道が沖縄に負けていると言われるのか?」という疑問があると書きました。
石垣島で目に入るもの、聞くもの、味わうもの、初めてのことばかりで、興味津々、感動したということを書きました。
おそらく旅人にとって魅力的な土地とは、この感情をどれだけ多く感じられる場所かというのが、ひとつのポイントなんだろうと思うのです。
例えば、石垣島では当たり前の白い砂浜とサンゴ礁。低いセメント瓦屋根にシーサーの乗った家。おそらく住んでいる人にはなんでもないこと、日常のこと、あるいは古臭い感じに思うものかもしれません。
でも、それが、旅行者には新鮮で感動的に見えるのです。
理由はただ一つ。自分の住んでいるところと違う環境文化だから。
でも、観光、つまり光を観る旅の目的は、その知らない土地の自分たちと違う自然や文化=光=その土地の日常に触れて知ることなのだから、これは唯一の、そしてとても重要なポイントなのではないでしょうか。
はっきり言って、北海道の自然フィールド、文化は沖縄に全然負けていません。スケールは遥かに上です。
カヤックをするにも、やはり知床の厳しい海のほうが、魅力的に映るし、カヤックという舟が似合うフィールドだと思います。
ただ、違うのは日常生活の場から、その北海道にしかない光が薄れているということ。「北海道らしさ」といえば安っぽい表現ですが、よそから来た人が一瞬で「あぁ北海道に来たなぁ」と感じるものが、私たちの日常に溶け込んでいないのじゃないかと思います。
建物、食べ物、そして自然の風景。少しずつ、年々、それが薄れていくようにも思えます。
たぶん、沖縄に負けているのだとしたら、こういうところなのかもしれないと感じました。
大切にしなければならないことは、日常の全て。北海道の気候、自然環境、文化に適応して作り上げられてきたものを、財産として大切にしていくこと。
プロモーションの問題とか、ホスピタリティのこととか、いろいろなことを考える前に、みんなの日常生活を北海道の土地に一番似合うものにしていくこと。
そんなことが大切なのだろうなと感じます。
みなさんは、どのように思いますか?
普段の生活で、何を感じ、何を大切にして暮らしていますか?
竹内聖(たけうちせい)
2003年から、北海道アウトドア協会事務局で、アウトドア資格制度の運営やアウトドア協会運営に関する様々な仕事に携わる。
http://www.takeuchisei.com/
5月 21
Topic: 連載:プロフェッショナル論|
この春、石垣島に行ってきました。実は沖縄に行くのは、初めての経験。
札幌にいると「北海道は沖縄に負けている」「お客さんを取られている」という声を聞きます。
もし本当にそうなら、一体どうしてなの?
石垣島に降り立った私は、それを知りたいなと思っていました。
今回の旅行は5日間。そして初日からシーカヤックの予約をしてありました。空港に着くと、ガイドさんがお迎えに来てくれています。
そして、準備を済ませてガイドさんの車で海へ。
どんなところを漕いできて、なんで石垣島でシーカヤックガイドをしているのかとか、世間話とか、いろいろと話しながらも、私の目は風景に夢中でした。
なにせ、初めての沖縄の海。白い砂浜、サンゴ礁、暖かい海。カラフルな魚たち。
全てが新鮮に見えて、ちょっとしたことでも「おぉ~っ!」と感動の声を上げていた私に、ガイドさんは「初めてだと何でも感動しますよねぇ~」と言いました。

実際この日、暖かい海を漕ぐこと、シュノーケリングでカラフルな魚達を眺めること、砂浜のヤドカリ、サンゴのかけら、とにかく全てのことに興味津々でした。
さて、ここで大切なことに気づきました。
「初めて見ること、聞くこと」はとっても興味をそそられ、どきどきするし、少しのことでも感動するものなのです。
でも、慣れてしまえば、全てが「あたりまえ」になります。
「そんなの当たり前じゃん」と思われるでしょうが、自分自身のことを振り返って、日常に周囲の全てに慣れてしまっているということを自覚できる人はいったいどれくらいいるのでしょうか?
初めて見て聞いたときにワクワクしたことを覚えている人はどれくらいいるのでしょうか?
少なくとも、私は今の日常生活、普段暮らしている場所を、そうやって新鮮な目で見るという気持ちはすっかり忘れてしまっていました。
みんなわかってはいるはずなのに、でも実はできていないことなのではないでしょうか?
慣れてはいけない。
十分に知り尽くすことは大切ですが、ただ慣れてしまうことは大切なことを失うことにもつながるのかもしれませんね。
「初心忘れるべからず」よく聞く言葉ですが、実践するのは難しいことです。
あなたは、どんなきっかけで、どんな目標があって、そこに暮らし、その仕事をしているのでしょうか?
最初に感じた、ドキドキや「一生懸命やるぞ!」という気持ちを、今でも覚えていますか?
竹内聖(たけうちせい)
2003年から、北海道アウトドア協会事務局で、アウトドア資格制度の運営やアウトドア協会運営に関する様々な仕事に携わる。
http://www.takeuchisei.com/
4月 24
Topic: 連載:プロフェッショナル論|
どんな職業でも同じだと思いますが、まずお客さんよりも先に自分がアウトドアを楽しんでいるか、というのはとても重要なことではないでしょうか。
プロのアウトドアガイドになろうと思う人は、当然アウトドアが好きで、その道の専門的な技術や知識も自分のために喜んで身につけてきた人でしょう。プロガイドになる前には、アウトドアが大好きでたまらない人だったというのは、当然のことです。
しかしプロになって、来る日も来る日もお客さんのためにツアーをしている日々でも、その遊びに対する情熱、楽しむ心を忘れないで持ち続けているでしょうか?
自信をもって、YES!と言えますか?
もちろんガイドですから、お客さんのように毎日ハラハラドキドキでも困りますが、心の底から毎日のツアーを楽しんでいるかどうか、自分に聞いてみるといいかもしれません。
一緒にいるお客さんには、ガイドであるあなたの心が自然と伝わるものです。楽しいと感じていれば、お客さんだって楽しい気持ちになるし、もう飽きたなぁと思っていたら、お客さんもなんとなくつまらない気持ちになるはず。
音楽家や芸術家が自分の作品や演奏で人々を感動させたいと思うなら、その前に自分自身が身が震えるほど、涙が出るほどに感動していなければ、人に伝わるものを生み出すことはできません。
アウトドアガイドだって、きっと同じですよね。
自分の中に感動や楽しい気持ちがあって初めて、技術や話術が生きてくるはず。
あなたは、
毎日の仕事をツアーを、楽しんでいますか?
仕事に出かける前、どんな気持ちですか?
なぜ、何のために、お客さんと一緒にフィールドへ行くのですか?
最近、笑ったのは、泣いたのは、感動したのはいつですか?
竹内聖(たけうちせい)
2003年から、北海道アウトドア協会事務局で、アウトドア資格制度の運営やアウトドア協会運営に関する様々な仕事に携わる。
http://www.takeuchisei.com/
4月 16
Topic: 連載:プロフェッショナル論|
ガイドというものがいつ頃から存在しているのかということについて。
新谷暁生さんはかなり昔から、その存在があったと述べている。童話しらゆき姫に出てくる七人の小人は、ガイド的な存在だったというのだ。おそらく、高貴な人を知らない土地で案内するという役割は、このように古くから存在していたのだろう。ガイドは決して身分の高い存在ではなく、物語の主人公にもなりえないかもしれない。それでも、その存在の意義は重要なものであって、人々の役に立つことで尊重されてきたはずである。
そして、それが職業として形成されてきたのも新しいことではなく、特に欧米では、山岳ガイドの歴史は古く、文化として根付いているために社会的認知度も高い。
では、北海道ではどうか。
先日、宮下岳夫さんが講習会の中で話していたところでは、昭和のころから山岳ガイドを名乗り、登山口などでお客さんを求める人がいたということであった。しかし、北海道で本格的に職業としてのアウトドアガイドが成立するようになってからは、まだ10~20年ほどしかたっていない。つまり、この地におけるアウトドアガイドの歴史は非常に浅く、ほんの生まれたての職業である。
前回書いたように、ガイドは誇り高い責任の重い仕事であるにもかかわらず、北海道ではその歴史の浅さから、残念ながら社会的な認知度が高いとは言えないのが現状である。そして、職業に対する評価も十分に値するものではない。
ガイドをしている皆さんは、「もっと社会的認知度が高ければ」「ガイドに対価を払うことにもっと理解があれば」「もっとアウトドア文化が深く根付いていれば」と思うこともあるかもしれない。北海道アウトドア協会もそのために努力している。
しかし、「もしも」ということばかりを考えてえて言い訳をしても仕方がない。逆に考えると北海道におけるアウトドアガイド業の創成期にかかわることができている。自分たちが、スタンダードを作っていける立場にあるということだ。
ないものは自分で作る。自分たちが道を作っていく。ひとりではなくみんなで力を出し合って、より大きな成果を目指す。
それをしなければならないことと捉えるのではなく、それができる特権を持っていると考えて前向きに行動していくのが、今、この時代に北海道で生きるプロガイドの進むべき道なのではないだろうか。
竹内聖(たけうちせい)
2003年から、北海道アウトドア協会事務局で、アウトドア資格制度の運営やアウトドア協会運営に関する様々な仕事に携わる。
http://www.takeuchisei.com/
4月 05
Topic: 連載:プロフェッショナル論|
これから、「プロフェッショナル論」と題して、プロガイドには何が必要なのか、どういうことを考えるべきなのか、ということを連載コラムに書いていきたいと思います。
どのように展開していくかはわかりませんが、少しでも皆さんのお役にたてる内容になるようにがんばります。
このコラムは、主に北海道のアウトドアガイドのみなさんに向けて書くものですが、もちろん違う地域、職業の人にも読んで欲しいと思っています。
さて、最初のテーマはアウトドアガイドという職業について。
この連載はアウトドアガイド向けに書くとは言っても、読者にはガイドではない人もいると思いますので、まずは、アウトドアガイドとは何ぞや?というところからスタートします。そして、アウトドアガイドというお仕事の大切さについても。
「ガイド」という言葉で、一般の人たちが思い浮かべるのは、きっとバスガイドさんかなと思います。
バスに乗って、お客さんに観光地の説明や、それにまつわるいろいろなお話を聞かせてくれます。歌を歌う人もいますね。要するに、観光地の情報案内をする人たちがバスガイドです。
Guideの約は辞書にも「案内人」とあります。
そして、「アウトドアガイド」は文字通りアウトドアフィールドでの案内人です。
ただし、ここで他の案内人と違うのは、「困難な、あるいは危険なフィールドや状況においても、安全に」お客さんの目的を達成させてあげるという役割を持っているということです。
それは、極端に言えば、人の命さえも背負っている案内人であるということです。
この職業について知らない人は、きっと、「いつも山や川でお客さんと遊んでいるだけで、お金がもらえていいね。」というように考える人もいることでしょう。
もしかしたら、普段は、お気楽な仕事に見えるかもしれませんね。
しかし、実際は、非常に重い責任を背負っているのです。
アウトドアガイド。
日本では、まだ、あまり認知されていない職業ではありますが、人の命を預かっているという点では、医師や飛行機のパイロットなどと同じように、尊い職業なのです。
皆さんには、ガイドの仕事に対する理解をして、尊敬してほしいなと思います。
そして、ガイドをしている皆さんは、誇りを持ってほしいと思います。
竹内聖(たけうちせい)
2003年から、北海道アウトドア協会事務局で、アウトドア資格制度の運営やアウトドア協会運営に関する様々な仕事に携わる。
http://www.takeuchisei.com/